2007年03月21日

キョウコさん

毎週同じ曜日、同じ時間に必ず来るお客様がいる。
彼はスポーツ刈りで肩にはリュックをかけ、カジュアルな服装でいつもやってくる。

私はまだ今の部署に入って間もないので、彼の存在は知らなかったが、他の部署では有名な存在らしく、私は彼に実際に会う前に同僚から彼の噂を聞くこととなった。

ベタベタと大きな音を立てて歩き、一台ずつ車のドアをあけては、キョウコさんに向かって「キョウコ早く乗って」と促したりして、一通り全部の車を乱暴に扱い、キョウコさんの機嫌を伺いながら「わかった、もう帰るよ」と言って帰っていくそうだ。

その話を聞いた翌日、彼はやってきた。
噂どおり、ものすごい足音で乱暴にショールームに入ってきた。
独り言をぶつぶつ言い、やはり噂どおり展示してある車全部に乗り込んだ。
そして、噂どおりキョウコさんの為にドアをあけたり、キョウコさんがお腹が空いたと言ったのだろうか?「この一台みたらご飯食べよう。もうちょっと待って」と説得していた。

彼は決して悪いことはしないのだが、行動ひとつひとつが乱暴な為、どうしても目立ってしまう。従業員は慣れているが、そこに居合わせたお客様はびっくりして彼をジロジロ見る。

彼は障害者だ。彼はいつも一人で来る。
キョウコさんは実在しない。彼の中だけの存在なのだ。

キョウコさんが彼の彼女なのか、妹なのか何なのか私にはわからないが、彼にとってキョウコさんがとっても大切な存在であることは、彼を見ていると悲しいくらい伝わってくる。

だが、悲しいかな、同僚の中には彼をからかう者もいる。


私が通った小学校と中学校には特別学級があった。
図工の時間や家庭科の時間など、私達のクラスに混じって一緒に絵を描いたりした。

彼らは、私達以上に敏感で繊細だ。
こちらがそれを察知できなくて、いきなり奇声を発したり鉛筆でつついてきたりする。だが、全然怖い存在なんかじゃない。彼らは自分の世界を大事にするだけなのだ。

だが、今回、彼がショールームに来るといって、わざわざ連絡をくれた上司がいた。
「変なのがそっちに行ったから気をつけろ。今一人男子を行かせるから」と。

その上司はもちろん私を気遣ってそうしてくれたのはよくわかる。だが、憤りを感じずにはいられなかった。こうして社会は彼らを偏見の目で見るのかと。。

私は、他のお客様同様「いらっしゃいませ」と言い、「よかったらアンケートにお答えいただけませんか?」とお願いした。彼は、「ありがとう」といい、「もっと他に車ないの?」と聞いてきた。「すみません。ここに展示してあるだけなんです」と答えると、キョウコさんに「もう帰ろう」と言って、ショールームを出て行ってしまった。

後でその話を同僚にすると「彼がキョウコさん以外の人に話し掛けるのを見たことがない。きっと初めてじゃない?」と言われた。私は彼に認めてもらえたようですごく嬉しかった。

彼がここへ来て良かった、また来たいと思えるように接していきたいと思う。


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この記事へのコメント
おかえりなさーい☆
ちょこちょこ見てたんだけど、ちょっくら目を離したら
復活してる!!
これからも楽しみにしてますね〜^^
Posted by オレンジペコ at 2007年03月21日 15:18
オレンジペコさん
こんにちは!そして、ただいま〜☆
ちょこちょこ見ててくれてありがとう。
おかえりなさいって迎えてもらえるのは本当にうれしいです。
また、ぼちぼち書いていきますので、暇つぶしにでもしていただけたら
うれしいです。よろしくお願いします^^/
Posted by yukiko at 2007年03月21日 16:00
 yukikoさん、素晴らしい対応ですね。他のお客様と同じように接する。簡単なようでなかなかできるものではありません。心の中にほんのわずかでも相手に対する偏見があればそれは態度に出てしまいます。

 普段から彼ら接していないと、また、そういう方々の障害に対する知識がなければ、やはりびっくりしてしまうこともあるでしょう。特にこういう事はハレモノに触るようにみんなタブーにしている所があるように感じますね。学校でも世間でも。彼らに対する知識が深まれば自ずと偏見など消えていくのでしょうが、いかんせん誰も教えてくれませんからね。自分で学ぶしかありません。

 >彼らは自分の世界を大事にするだけなのだ

 そうだったんですね。目からウロコですよ。これで彼らとの距離が少し近くなったような気がします。オイラもyukikoさんのように自然体で接する事ができるように頑張ります。
Posted by マロ at 2007年03月21日 22:51
yukikoさん、素晴らしい対応ですね。他のお客様と同じように接する。簡単なようでなかなかできるものではありません。心の中にほんのわずかでも相手に対する偏見があればそれは態度に出てしまいます。

 普段から彼ら接していないと、また、そういう方々の障害に対する知識がなければ、やはりびっくりしてしまうこともあるでしょう。特にこういう事はハレモノに触るようにみんなタブーにしている所があるように感じますね。学校でも世間でも。彼らに対する知識が深まれば自ずと偏見など消えていくのでしょうが、いかんせん誰も教えてくれませんからね。自分で学ぶしかありません。

 >彼らは自分の世界を大事にするだけなのだ

 そうだったんですね。目からウロコですよ。これで彼らとの距離が少し近くなったような気がします。オイラもyukikoさんのように自然体で接する事ができるように頑張ります。
Posted by マロ at 2007年03月21日 22:52
あら〜ブログ再開していたのですね!!
お帰りなさい。

この記事を読んで非常に共感しました。
社会は、まだまだ精神領域の疾患への理解が少ない。
私は医療機関に身をおいておりますのが、こういった
理解は医師や看護師でも、まだまだ足りないのです。
身内にそういった疾患を持つ患者がいたりしないと
なかなか解からないのでしょうね・・・

考えすぎず、マイペースでブログ続けて下さいね。
応援しておりまする〜
Posted by LOVE GUIDE at 2007年04月05日 13:10