自宅から車で15分程のところに映画館ができてから、ちょくちょく足を伸ばすようになった。それまではレンタルビデオで映画は充分だと思っていたのだが、やはりあの大画面と音響の良さで、同じ映画を観ても感動の度合いは違うものだと今更ながら痛感している。
ここのところご無沙汰だったが、久しぶりに2週続けて映画を観てきた。
一週目は、ずっと前から観たかった「美しき野獣」である。
テレビドラマ「天国の階段」からクォン・サンウのファンになり、「悲しき恋歌」ではもうメロメロになってしまった。その彼がスタントを殆ど使わず、今までとはまったく違ったキャラクターを演じ、「これまでで最高の映画だ」と言い切る作品である。サンウファンとしては見逃せまい。
私は観る映画を選ぶ時、あまり評判に踊らされない。
CMで「感動で涙が止まりませんでした」なんていってる映画は大抵嘘っぱちで、感動できたためしがないからである。それと「アカデミー賞最有力候補」とかなんとかいっている映画もあまり気が進まない。感動するかどうかは人それぞれであって、賞をとろうがなんだろうが、私がいいと思わなければその映画はよくないのである。観終わった後、単純に「あ〜おもしろかった」と思い「お金を払ってでも観てよかった」と思えればそれでいいのだ。
なので、映画を選ぶときは、好きな俳優・女優が出てるとか、なんとなく自分と相性が良さそうだなと思う映画を選んでみる。好きな人が出ている映画であれば、多少内容がつまらなくとも納得できるものだ。その人を大きな画面で見ているだけで大満足できるからである。
さて、今回観た「美しき野獣」であるが、サンウは全然美しくなかった。というより、むしろ醜かった。確かに今までのキャラクターとは全然違うのだが、そんなに汚くしなくてもいいじゃん、というくらい汚かったのだ。私の好きなサンウじゃない。しかも、私はテレビドラマの日本語吹き替えでしかサンウを観ていないので、字幕で映画を観ていてすごく違和感があったのだ。「あの声サンウじゃない…。」と。
だが、やはり好きな人を見ているのは、あっという間に時間が過ぎてしまうもので、テンポよく進むストーリーに引き込まれ、2度ほど涙を流してしまった。サンウが汚かったので、期待通りではなかったが、「あ〜おもしろかった」と単純に思えたので合格である。
その次の週に観た映画は、不本意ながら、評判の高い「男たちの大和」である。邦画はあまり映画館で観たいと思わないし、なんとなく相性が悪そうな予感がしたのだが、もしかしたら評判どおり泣けるかもと思い、重い腰を上げていった。
だが、自分の勘は大抵当たるもので、私は最初から最後まで「早く終わらないかなぁ〜」という気持ちで観ていた。ストーリーは戦争物である限り、大体の予想はつく。そして随所に泣かそうとする場面が出てくるのだが、どうも泣けなかった。
戦争について考え、生き残った者、生きている意味などを問う映画だと思うのだが、私は、エンドロールが下り始めた瞬間に席を立ってしまった。
その時、近くの席に座っていたおばあちゃんが目に入ってきた。おばあちゃんはメガネを取り、涙をハンカチで拭っていた。とても私のようにすっと立って映画館を後にするようなことはできない様子だった。
私はその時、自分の浅はかさに気付くことになった。私は、まだまだ戦争のことを何もわかってないと…。映画そのものは楽しめなかったが、あのおばあちゃんの姿は私に訴えるものがたくさんあった。
映画館には、映画以外にもたくさんのドラマがあるのだ。
戦争はダメだ。
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