2006年02月08日

続 切ない想い

私が一番孤独感にさいなまれていた時、彼と偶然駅前で再会した。
久しぶりの再会だというのに、私は顔色が悪く、表情もなく、人と会って話をするような状態ではなかった。こんな時に会いたくなんかなかったのに…。

彼は中学校の同級生である。
私達は、大きなグループの仲間ではあったものの、二人で話をするようなこともなく、卒業してからも、同窓会で会ったり、内輪だけの飲み会で会ったりするくらいで、そんな時でも隣に座っていろいろな話をするほどの仲でもなかった。
彼はおそらく私の事をあまりよく思っていなかったと思う。彼から出てくる私への言葉はきついものが多かったからだ。そんな言葉に対し、私も可愛げのない返事をしていたので、彼の中での私は“気が強くて生意気な女”であっただろうと思う。

だが本当は、私は、彼に最初に会った時から彼の事が気になっていた。だが、私は、素直に気持ちを表現することができず、本当の気持ちを悟られないようにわざと“あなたのことなんか全然気にならないから”と可愛げのない態度ばかりを繰り返していたのだ。

そんな私達は、立ったままお互いの近況を報告しあった。
彼はとても元気そうな顔をしていて、仕事のこと、そして近々結婚することなどを私に話してくれた。私は、彼の中では“気が強くて生意気な女”のままでいたかった。だから、“あまり今は調子が良くない”とだけ軽く流して話を締めくくった。彼は少し心配そうな顔をしていたが、程なくして私達は別れた。

その彼から、久しぶりの再会の後「食事でもしないか」と連絡があったのだ。
私はすごく意外に思った。“え?私と食事?二人で?いや、彼女を紹介してくれるのかな?”などと少しとまどいながらも、家に閉じこもっていたくない、彼と会って食事をしたいという思いが強く、私は彼の迎えを待った。

彼の運転する車には、彼しか乗っていなかった。“やっぱり二人で食事なんだ。”
私は少し緊張していた。最初はぎこちなく、どうでもいいような話をしていたと思う。わざとどうでもいいような話をして明るく振舞いたかったのだ。だが、なかなかそうもいかず、結局私は、自分の胸の内を彼に打ち明けることとなった。

やがて食事が進み、デザートを食べる頃になると、彼は切り出した。
「お前を今の状態のまま放っておくわけにはいかない。一人で苦しまないで」と。
私は涙が出るのを必死でこらえた。私を助けようとしてくれる人が目の前にいる。
でも、友人である彼の前ではしっかりしていたい。だが、それと同じくらい彼に甘えたいという気持ちも強かった。私はどうしていいかわからなかった。ただ、笑うしかなかったのだ。

食事を終えて家に送ってもらい、私は彼にお礼を言って別れた。
家に帰ってひとりになると、“私は彼の事を一体どれくらい知っているのだろう”と思った。もう20年以上も前からの知り合いではあるものの、どれだけ彼と話をしたことがあっただろうか。私は、彼のことを殆ど知らないことを、改めて認識することとなった。

その後も、彼はさりげなく連絡をくれた。私に無理がないように気を配りながらも、外へ連れ出してくれるようになったのだ。そんなことが続くと、私は彼からの連絡を楽しみに待つようになった。そして、自分からも連絡をするようになっていったのだ。

彼と過ごす時間は楽しく、あっという間に別れの時間が来てしまう。いつしか私の中で彼の存在は大きくなり、もっともっと彼と一緒の時間を過ごしたいと願うようになっていった。

だが、彼は婚約者のいる友人である。
彼の私への優しさは、あくまでも友人としてであって、それ以上の何ものでもない。
私は何度も自分に言い聞かせた。“彼はただの友達なんだ”と。

だが、彼ともっとたくさん一緒にいたい、でも、もうこれ以上友達の振りなんかできない。私は自分の気持ちに嘘をつけなくなってしまったのだ。

そして、私は、彼に本当の気持ちを打ち明けようと決心した。

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この記事へのコメント
切ないですね。
偶然なのかわからないですが、昨日読み終わった小説に「サヨナライツカ」という小説があって。
それは、今のyukikoさんと同じような状況の二人を描いた物語でした。
それを読み終わった今だからわかる気がします。
辛いかもしれませんが、後悔はしないようにしてくださいね。
Posted by blue at 2006年02月08日 21:57
きゃ〜〜!!
お話の途中だけど、だめよ!!そっちの方向に行ったらだめよ!!(笑)
言葉は悪いけど、婚約中の男性の中には「その他の女との今生の別れ」みたいな儀式をする人がいる〜。(心が揺れるんだろうか??)
そういう人じゃなければいいけど。ハラハラ。
Posted by 由巳ゆみ at 2006年02月08日 22:09
blueさんへ
偶然ですね。。
「サヨナライツカ」読んでみたくなりました。
物語の二人は、題名から察するに、別々の道を歩んでいくのでしょうね。。
私たちと同じように…。
これもいつか懐かし思い出になるといいんだけど。。
Posted by yukiko at 2006年02月08日 22:11
ゆみちゃんへ
ゆみちゃんの言ってることよくわかる。
大丈夫、これ以上関係が発展することはないと思うから^^
彼にとって私は友達以外の何ものでもないの。。
いっそ彼が悪い人だったらいいのになって思う。。
Posted by yukiko at 2006年02月08日 22:19
初めまして。
いつもハラハラしながら読ませて頂いています。

私はもう、立派におばさんといわれる年代だから
yukikoさんより年上なので
いつも突っ張って生きてるなあぁって感じて
もっと力抜いて生きてごらん。って
ヨシヨシしたくなっちゃいます。

どうぞ、危ない方に行かないようにと
続きが、気になっています。

また遊びに来ますね。
あ、ポチッ。押しておきます。


Posted by mizuki at 2006年02月09日 08:58
mizukiさんへ
初めまして、コメントありがとうございます☆
どうして私はこう力が入っちゃうんでしょうね。
mizukiさんにヨシヨシしてもらいたい。。

ポチありがとうございました!
また是非遊びに来てくださいね!!
Posted by yukiko at 2006年02月09日 09:50
ところが・・・?!
ナニが『ところが』なんだろうと。。。そうだったのかぁ

考えようかなぁ〜
“もう婚約者がいる人”なのか“婚約者がいるけど結婚してない人”なのか・・・

友人の一人として気にかけてくれている、そうかもしれなくても
自分の気持ちを伝えることは大切だとあたしは思う
言わずに後悔するより言って後悔するほうがずっと、ずっとイイ!
・・・アレ?
正しくは、言って後悔してない、だった(笑)
とにかく後悔しないように。。。です
Posted by ハム太郎 at 2006年02月09日 09:53
ハムちゃんへ
あはは。
>正しくは、言って後悔してない、だった(笑)
わかる、わかる。
何でもしないより、して後悔したほうがいいもんね。
私もこれまでで一番辛かったのが“xxすればよかった”って思うことだから。どんな滅茶苦茶なことでもやっちゃったら意外と後に残らないものだよね。後悔しないようにします★
ハムちゃん、いつもありがとう!!

Posted by yukiko at 2006年02月09日 10:02