もう何も考えまい
早いもので点滴治療を始めてから、もう折り返し地点までやってきた。
効果はどうかというと、今のところまったくない。どころか、どちらかというと調子は下っているようにすら感じる。おそらく副作用だと思うのだが、とにかくだるくてだるくて横にならずにいられないのだ。
私はもっと軽く考えていた。たった2時間の点滴の為に入院なんて、と思っていたのだが、先生が入院をすすめたにはそれなりに理由があったのだ。
点滴中はもちろん、終わってからも家に帰ってからもひたすら寝てしまう。
自分で運転して帰るのはかなり無理がある。車の中でもひたすらコックリコックリ。
入院をしていれば、そのまま一日中ゆっくり眠れたわけだ。。。
6回の点滴の間に3回診察してもらったが、今はひたすらゆっくり眠ることが一番だという。効果が出てくるのは2週間終える間近だとか。とにかく今は先生を信じるしかない。
そんな私の状態を見て、母はちょっとイライラし始めた。「もう行ってみたいとこ全部行っちゃったし、行けば行ったで余計な出費しちゃうし」と。そりゃそうだ。私は行ったらひたすら眠るだけ。だが、母はその間毎日時間をつぶさなければならない。私が「入院すればよかったね・・。」と母に言うと、あわてて「そうじゃなくてね、元気になっていくならこっちも送り迎えのしがいがあるんだけど、こんな状態じゃ何の為にやってるんだか・・・。」と。それを言われるとこちらも辛い。でも、入院しないで頑張ればって言ってくれたの、誰だっけ？仕方ない、母ちゃんにはもうちょっと頑張ってもらおう。
ところで、この一週間、おそらく50代位だと思われるベテラン看護士さんのAさんとBさんにお世話になった。
Aさんは、朗らかで話しやすく点滴の針の刺し方も抜群。初日はすっと一発で入れてくれたし、いろいろ気を遣ってくれた。
そして次の日のBさん、見るからにちょっと怖い。口調は優しいのだが、目は全然笑ってないし、髪はショートでポマードで固めてる。声はたばこか酒焼けか？というくらいガラガラ声だ。いざ針を刺すという時、何度も腕をさすったりペシペシ叩いたりして、「なかなか血管が見えないわねぇ」と言いながらやっと刺した。ふーっ。
そのうち私は、ポタポタと落ちる点滴のしずくを見ながら寝入ってしまった。
するとBさんが見回りに来て、大きな声で「手、動かしました！？」と私を起こして言うのだ。私はぼんやりしながら「寝ちゃったんで、よくわかりませんが・・。」と答えると、急いで点滴の針を抜く作業にかかった。よく見ると、左腕の指先からひじまで、まるで赤ちゃんの手のようにしわひとつなく、パンパンに腫れていた。おそらく初めから血管に入っていなかったのだろうと私は思った。こんなに腫れているんだから。自分でパンパンになった腕を見ながら“赤ちゃんみたいで可愛い”と思いつつ、私はBさんに対してかなり不信感を抱いてしまった。
なぜなら、前日のAさんの時は、トイレに行って腕を動かしても全然平気だったのだ。ちょっと腕を動かしたからって、血管から、固定された針が抜けるとは思えない。が、彼女は最初から私のせいにしたのだ。それとも医療ミスと思わせてはいけないからと、「謝ってはいけない」というルールでもあるのだろうか。
だが、私、こういうタイプには何も言えない。
その翌日から、Bさんに名前を呼ばれるものの、3日間点滴をしてくれたのはAさんだった。“きっと失敗したからもうBさんは来ないんだな”とほっとしたのも束の間、最後の土曜日にBさんはやってきた。“やだなぁ〜、また腕がパンパンになるのもいやだけど、あの分の点滴、無駄になっちゃうのよ。ちゃんと血管にいれて頂戴よぉ”と心では思いつつ、そんなことなどちっとも思ってないような素振りで、私はニコニコしながら「よろしくお願いします☆」と弱弱しくもはかなげな笑顔を作って言った。
するとBさん、また始まった。
「おかしいわね。今日はいつものところ、全然血管が出てこないわ」と腕をさすりペシペシ何度も叩く。Aさんは一度もそんなことを言ったことはなく、いつも同じようなところに一発で針をぶち込んでいた。
“あ〜、どうしよう。なんか言わなくっちゃ”私はなぜかBさんのご機嫌を取ろうとし、「私の力の入れ方が弱いんでしょうか・・？」なんて言ったりした。すると、Bさん、嬉しそうに「大丈夫よ、これだけ力入ってるんだから」と私を励ます。笑みがこぼれた。その瞬間だ、針はぶち込まれた。そして、どこにもお漏らしすることなく、この日は無事点滴を終えることができたのだ。ほっ。
Bさんは、とってもプライドが高くて仕事熱心な人だと思う。
ただ、自分のミスを簡単に認められないだけなのだ。
でも本当は心の中で、“失敗しちゃった”という意識を強く思っている。だが、表には出せない。その為に、いろいろ言い訳が出てきてしまう。
そういう人だと思うと、私は何も言えなくなってしまうのだ。
そういえば、会社にもこういうタイプの人いたっけ。
悪気があったりやる気がない人には、バンバン文句が言えるが、こういうタイプには私は何も言えず、ひたすら気を遣い、いい子を演じてしまう。
だが、それってすごく疲れる。そういうとこ自分でも嫌だな〜って思う。
っていうか、深読みしすぎか？
明日からまた頑張るぞ！
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Posted by late_bloomer at 00:03│
Comments(17)│
エッセイ
頑張ってますね＾０＾ｖ
ゴールまで、あるから申し越しの辛抱ですね。
自分もいまだいい歳なのに、注射される瞬間って大汗かいちゃいます。
次回は、一回で決まることを祈ってますね〜。ガンバッテ！
やっと中間地点ですね☆
ゴールも見えてきたし頑張ってくださいね(*^_^*)
折り返し地点で、後 半分。そのAさんが、担当してくれる日が多いといいですね〜〜
ずっと以前、子供が入院していた頃 子供には二人の担当医師がいて、A先生は子供が苦手だけど 点滴の針を一回で入れてくれる。B先生は、子供が大好きだけど よく何回も点滴の針を刺せないでいました。それでも、子供は、B先生がよくて 「先生 今日は間違えないでね」と言っていました。私は、心の中で 一回で針が入りますようにと祈りつつ、やっぱり何も言えないものでした（笑）
やっぱり、一生懸命やってくれてると 何も言えないもんですよね〜
YUKIKOさま★頑張っていらっしゃるご様子で何よりでございます。
Bさんのような方いますね〜。私もこの手の方は苦手です(^_^;大体３０代以上の「大人」に多いと思いませんか？知らないことを知らないと言えない。間違っていることを認められない。「自分はできて当たり前！」っていうプレッシャーがこういう言動にさせてしまうんでしょうね。頑張りやさんなんだと思うけど．．．悲しい。自分の自信のなさがなせる業だと思って 優しく見守ることにしています♪似たところで言うと「羨ましい」ということを上手く伝えられない方も苦手です(ToT)
点滴は数多くの経験がある、体が弱い俺ですが（苦笑
点滴している最中って、だるくなるんですよね。
打つ薬にもよると思うんですけど。
でも治りますよ!
ishikoさんへ
はい！もう少しの辛抱。頑張ります☆
昔は注射全然平気だったのに、最近弱くなりました。
絶対針を刺す瞬間は見ないようにしてる・・。
loveさんへ
ありがとうございます☆
今日で半分以上終わりました。もう少し。頑張ろう！
はなもぐさんへ
B先生みたいに人柄がいいと子供も突っ込みやすくていいのでしょうね。
そうなんです、一生懸命やってくれてると思うと何も言えない。
ちなみに今日はBさんでした。
何回もペシペシやってましたが、なんとか一発でOK。ふーっ。
RIEさんへ
そうそう、こういうタイプは若い人はあんまりいない。
「できて当たり前」の位置に来てるだけに、間違いは認められないのでしょうね。私も優しく？見守れてる方なのかな。。
確かに、同じように「羨ましい」という表現が出来ない人も同じカテゴリにいますね。これも他者を認められないということ。潔く認めて褒めた方が絶対格好いいと思うのだけど。。
blueさんへ
そうか、やっぱり点滴中はだるくなるものなんだ。。
＞でも治りますよ!
blueさんが言うと説得力ある！
私も良くなると信じてます☆
効果が出るのに２週間くらいのお薬もあるんですね。
私の飲んでいる薬は即効性ばかり・・。
根本的に治すという事を、私も主治医に相談してみようかなと思いました。
yukikoさん、ゆっくり眠ってくださいね。あと少しですね（＾＾）/
私も内科で毎月検査で採血しているのですが、ある看護婦さんは必ず針を刺す時に「少しチクッとします、ごめんなさいね」と誰にでも言ってくれます。
その一言に注射嫌いの私はちょっとホッとしたり。
また、無表情で何も喋らず怖いけど腕はピカ一の看護婦さんもいたりして、看護婦さんウォッチングをついしてしまいます（＾＾）
かつみさんへ
私の飲んでいる薬の方も効果が出るのに２〜３週間かかりました。
即効性のある薬は、頓服として出されてるだけなんです。
先生の考え方によって治療法って違いますもんね。
最初の先生はとにかくたくさん薬が出ました。飲んでる間は調子良かったんですけど、すぐ再発しちゃって。。
そういう経緯があったことからも、今度の先生は徹底的にやっつける！という気合を感じます^^
ほんと看護婦さんウォッチングしちゃいますね。
先週はずっと私一人で点滴部屋を使っていたのですが、今日は三人一緒で満室状態。患者ウォッチングができて今日は、楽しさ倍増でした☆
にゃ(^3^)/
ワタシは先日看護士にブチギレしてまんまとｲｹﾒﾝDrにやってもらいました☆
でも、お姉サマの気持ち分かるなぁ。ワタシもそういうタイプの人の前では【気遣い大臣】になっちゃうもん(･_･;)
別に媚びている訳でもないのに悔しい気持ちになりますよねぇアノ状況。。。
まぁでも！病院は別ですよ。患者がDrや治療方法を選ぶ時代。Drや医療従事者＝特権階級なんて時代は終わってますからね☆
何かあればカミナリ落とすのも必要ですよー(^3^)/
ブログ来てね〜みなしゃん
【http://blog.livedoor.jp/katsuhiro19830107/】
やった〜中間報告だ〜。
つらそうだね。パンパンになった腕は元に戻りましたか？
僕の場合採血なのですが、見知らぬ若い女性看護士だとビビリます。
案の定「あれ〜出ないな〜」って言うんですよ。
「え？何が出ないんだ？」って一瞬固まりました。
体から出るものって一体？
どうやら血管の位置が分からなかったらしいのです。
注射は超嫌いなので焦りましたよ〜。
患者の前で不安を煽るような独り言をブツブツ言うのはやめて！
って思いました。
こちらで看護士を選べればいいんですけどね。
前向きに病気と闘っているyukikoさんを見習って、僕もがんばるぞ〜。ぽち！
ムーちゃん☆へ
そうね、ムーちゃんの言うとおり、病院ではきちんと言うべきかも。
今日もBさんで青タンできちゃったし。でも、言ったらどうなるのかと思うと怖くてやっぱり言えそうにないわ。。
っつーか、しっかり宣伝してるし。ムーちゃん強し☆
かずさんへ
おかげさまでパンパンだった腕は一晩寝たら元に戻りました。
確かに、血管の位置がわからなくても、声に出して欲しくないかも。
あ〜、明日はAさんだといいな。。
ぽち、ありがとう☆
今日はＡさんでしたか？
一生ポパイみたいな腕じゃやだよねえ。
元に戻るのなら安心しました。
少し辛いようだね。心配しています。
でもyukikoさんはご自分で決めたことだし
やり遂げることが出来るでしょう。
頑張って欲しいなあ〜
楽しいことばかり考えて、切り抜けて下さいよ。
美味しいケーキ！
綺麗なビーチ！
豪華なホテル！
優しい彼！
そしてお饅頭を食べているお母さん！
もう少しだね。
頑張れ！
かずさんへ
今日もBさん・・・。
今日は採血するときと同じ、一番血管の太いところに打たれました。
もちろん今度は一発です。でも、点滴でこの場所にするのってあまり見たこと無い。。
棟梁パパへ！
お久しぶりです！！
パパこそお元気ですか？
もうちょっとです。もう今はとにかく「良くなる」ことだけを
信じて、毎日たくさん眠っています☆
また是非、遊びにきてくださいね！
始めまして
いろいろな価値観、生き方、そして言葉
私は様々な感情が深ければ深いほど共感します。
凄く正直で、ありのままに自分の心を表現していて素敵です。
私は「がんばって」といわれるのが嫌いなので言いませんが
そのまま変わらず、そして勝ちという結果を手に入れられるといいですね。
一人ではないってことは素敵なことです。
皆さんに支えられているあなたは今も凄く幸せな人かもしれませんね。
今日、このブログに来たばかりですが
ちょくちょく遊びに来ますね。
どんなときも人生は楽しい。
教祖さんへ
初めまして、コメントありがとうございます！
本当に、皆さんに支えられて私はすごく幸せだと思います。
どんなときも人生は楽しい、いいですね。。
また是非遊びに来てください☆
