2005年09月27日

母は強し

いつものように犬の散歩に出かけると、前方30m位のところに両手に乗りそうな位小さな子猫がいた。「うわぁ、可愛いっ〜!」と思って、老犬をずるずる引きずりながらその子猫に向かって歩いて行くと、野良猫特有の睨みをきかせた後、シャーっと茂みの中に逃げて行ってしまった。「あ〜あ」と思って子猫がいたところを何気なく見てみると、誰かが与えたキャットフードがあり、なんと、そこにまだ一匹逃げ遅れた子猫がいるではないか。あまりにも可愛かったので、「大丈夫よ、こっちにおいで」とまさに猫なで声で手を出してみると、後ろからすごい勢いで、でっぷりと太った親猫が襲いかかってきた。

野良猫は大抵人間が近づくと、すごい勢いで逃げてしまうものだ。
しかしこの母猫は、すごい牙を向き、「ギャーギュアー」と野太い声を出し、うちの老犬に襲いかかってきた。どうすんだろ?とちょっと興味があったので、私は様子を見ることにした。
いや〜母猫は強い。母猫の体はうちの犬の3分の1くらいだったが、すばしっこくしつこく犬の後ろに回り、牙で噛みつこうとしている。我が愛犬は、ただただ哀しそうな目で逃げるばかりだ。

しかしよく考えて見ると、うちの犬は何も悪いことをしてない。
私に引きずられて子猫のところまで行き、私が子猫に手を出したばかりに母猫に襲われる羽目になったのだ。私が愛犬をかばわないでどうする。戦う気の全く無い老犬に変わって、私が母猫と戦うことにした。

大きな声で「あっち行きなさいっ!」と言っても行かない。何度も威嚇したが、牙を剥いたままだ。そこで、思い切り手を上げて殴る振りをしたら、やっと少し犬から離れた。それでもまだ睨みをきかせて牙を剥き出しにしている。私はもう手加減はしない、本気で猫と戦おう、そう思ってバっと猫に近寄った瞬間、ものすごいスピードで茂みの中に入って行ってしまった。私の負けだ。茂みを覗いて見るとまだ牙を剥き、声を立てていた。

彼女は自分の子供を必死になって守ろうとしたのだ。
大人気ないぞ、自分。私は反省した。
動物の世界も、母親というのは強いものだとつくづく感心させられた。

ところで、私の母もかなり強い。
60代で複雑骨折の大手術をし、やっと杖がとれ、プラスチック製のギブスをつけて歩けるようになった途端、ゴルフコンペに出場した。ゴルフシューズさえ履けない足でだ。私はまだ危ないからと散々止めた。だが行ったのだ。骨折した時、私がゴルフ場へ迎えに行き、入院の手続きやらすべて行った。その後も一生懸命面倒を見た。だが今回は、何があっても絶対迎えに行くまい、面倒見まいとこの時ばかりは心底思った。

最近は、時間が余ってもったいないから仕事がしたいと言い出し、何軒か面接の予約をいれていたが、どこも年齢制限にひっかかり採用されなかった。が、たまたまゴルフ仲間に居酒屋を何店舗も経営している人がいて、その人のツテで、午後10時から夜中の2時までお店の後片付けの仕事をさせてもらうことになった。「社長の友人がパートに来ている」店長はやりづらいだろう。だがそんなことは言ってられない。後片付けの仕事のみでは人件費がもったいない。「これからは料理の方も手伝ってもらおうかな」と27歳の店長に母は言われたそうだ。だが母は、前から、古株のおばさんに「料理までやると大変だから絶対断りな」と仕込まれていたため、店長にうんともすんとも答えず、ただ外人のごとく首をすくめ、肩と手を上げたそうだ。お前は一体何者だ??

そして、母は、いくら安売りをしていてもなぜかドッグフードの缶詰をまとめ買いしてこない。特に11歳以上用の缶詰は置いてないところが多く、なぜたくさん買い置きしないのだろうといつも私は不思議に思っていた。
ある日、ちょっと遠くのディスカウントショップに母と一緒に行くことになった。たまたまその日はドッグフードが安売りしていて11歳以上用の缶詰もたくさんあった。私はかごに6缶入れた。するとすかさず母が「そんなにいらないわよ」と言う。「何でよ、6缶くらいあっという間になくなるでしょう?」と私。すると母は一言「だっていつ死ぬかわかんないんだよ」と言ったのだ。そんな、そんなこと、ランが死んでから考えてくれ。例えほんとに死んじゃってもたった1缶百円だぞ。それがそんなに惜しいのか?呆気に取られてしまって、結局缶詰は3つだけしか買わなかった。。

“母”は強い。

だが、同じ強さでも、私は猫ちゃんの強さをお手本にしたい。あんなお母さんになりたい。本気でそう思った。

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この記事へのコメント
コメントありがとうございました。

お返事を書きましたので、ぜひ見てみてください。
Posted by キャトルノアール at 2005年09月28日 11:51
児玉さんへ
こちらにまでいらしていただき、ありがとうございます。
早速伺いました。
本当にご丁寧にお返事くださり、とっても嬉しかったです。
これからもちょくちょく遊びに行かせていただきますので、
よろしくお願いします☆
Posted by yukiko at 2005年09月28日 12:51
コメントにお返事書きました。
Posted by キャトルノアール at 2005年09月28日 14:01
愛犬ランちゃんの為に戦いを挑もうとするyukikoさんを、ちょっと見てみたかった。きっと勇ましい☆(笑)

ウチにも居つてしまった猫母子がいるけど、母猫の強いこと!
私にすりすり甘えて、エサをねだる。根負けしてキャットフードを買ってしまった(一番安いのだけど)
子猫を覗き見すると、私を敵と思い威嚇する←エサやってるのに〜
私も、子猫をこっそり抱き上げるチャンスを狙ってるけど、なかなか母強し(笑)

yukokoさんお母さんも強いですね☆ 
私も早く「母」になりたいのは、「強く」なりたいからなんです。
野生の猫の母みたいに(笑)
Posted by こんこん at 2005年09月28日 16:44
芥川龍之介は『子は親を許す事に慣れている』と言ったそうです。なるほどなぁ〜と思います。子どものうちは自分が生きていくために、それこそどんな親でも許すんでしょうね。(この場合許すは受け入れるという事かな?)自分で食べられるようになる頃には既に許す事に慣れが生じている。

『母は強し』子の為に死ねると言いますが、私は共に生きる為の強さが真実だと思います。今日の親猫はまさにそれですね。体を張って子を守るからといって、そこで死ぬ気なんてさらさらない。やるじゃねえかおぬし、この、このぉ〜(´ー`)
Posted by あつこ at 2005年09月28日 20:32
キャトルノアール児玉さんへ
ありがとうございました!!


こんこんさんへ
私が戦いに挑んだ時、もう獣でした。
猫の目と私の目は野獣同士。でもエサを与えられて育った飼い人間の私はやっぱり弱かった・・。

えぇ〜、エサをあげても心を許してくれないなんて・・。
さすが母猫。媚びは売っても子供は守る。強すぎる。。

友人達も母になって強いなぁって思う場面たくさんあります。
私も強い母になれるかな。。もちろんお手本は母猫です☆
Posted by yukiko at 2005年09月28日 22:03
あつこちゃんへ
ほんとにあつこちゃんには教わってばかり。
龍之介がそんなこと言ってたなんて全然知らなかったわ。
深く納得。
そして“共に生きる為の強さが真実”もうズキューンです。

私は子供の頃、父とどうしても合わなくて随分反発したけど、結局自分に力がないことがわかっているから、受け入れることしかしなかったんだなぁ。

しかしあの猫ほんとに怖かった。
本気が伝わってきたもん。。
Posted by yukiko at 2005年09月28日 22:10
子猫ちゃんてかわいいもんね〜
つい近寄った気持ちわかります。
しかしさすがに母ネコ。ランちゃんがかわいそうだったね。姫が守ってくれてランちゃんうれしかったんじゃないかな。

それにしてもおかあさま・・・・・

缶詰をまとめ買いしない理由がそれですかっっっ(爆)
なんというか、私も即まとめ買いしますけどねぇ。
うちもハムスターを飼ってるんだけど寿命はわずか2〜3年。
そのハムのために買う色々なグッズやエサ。ハム本体よりずっとお金かかるけど、すぐに死ぬからいらないと考えたことなかったな。おかげで今でも未開封のヒマワリのタネとかトイレ用砂があります(笑)
Posted by ナナっち at 2005年09月28日 22:47
ナナっちへ
ほんと子猫ちゃん、可愛かったぁ。
それにしてもランの姿、これもおかしくて・・。
耳もシッポもたれちゃって、一生懸命お尻噛み付かれないようにグルグル回ってた。もうちょっと早く助けてあげればよかったかも☆

ほんとにうちの母ったら・・・

今思い出したのだけど、ランが家出して、結局1週間で自力で帰った時があって、その時、母はすぐランの小屋とか敷物とか処分しようとしてた。
「どうして、もっと待とうよ」と私が言ったら、「見てるのが辛い」って。
もしかしたら、缶詰が惜しいのではなくて、ランの気配を早く消すことで自分が辛さから逃れようとしてるのかも・・。

そうであって欲しいと思います・・。
Posted by yukiko at 2005年09月29日 00:19