2005年06月28日

ひと夏の思い出

家から30分程歩くと海岸に着く。1970年頃までは、ここでも潮干狩りができた。穏やかな海で、天気が良い日は東京湾が一望でき、富士山まで見える。潮風は心地よく、夕焼けは見事だ。海水浴は禁止されているが、禁止されるまでもなく、残念ながら茶色く濁っている水の中へ入って行こうという気にはならない。

だが、私はこの海で海水浴をしたことが一度だけある。
高校3年の夏。私と同じくらいガタイが良くて、髪はいつもショート、いつも元気にガハハと笑うNちゃんと行ったのだ。
なぜ二人で海へ行こうと思い立ったのか、もう思い出せないが、おそらく思い付きだったのだろう。彼女と私はTシャツの下に水着を着て、一台の自転車で汗をダラダラかき、笑いながら海を目指した。誰も泳いでる人などいないだろうと思っていたが、同じくらいの年の男の子3人が先に泳いでいた。私達も早速水着になった。

その海は遠浅で、ブイが浮かんでいるところまで行っても、水はお腹の辺りまでしか来ない。泳げない私も一安心だ。二人でブイを抱えて浮かび、ギラギラした太陽をいっぱい浴びながら、「気持ちいいねぇ〜」と言い、いろいろな話をした。

夕方になり、そろそろ帰ろうかと足をつけようとしたら、なんと、全然届かない。知らない間にかなり深くなっていたのだ。砂浜が異常に遠く感じられた。Nちゃんと私はあわてた。監視員はおろか人などどこにもいない。

Nちゃんが言った。「泳いで戻ろう、大丈夫?」「・・うん。」私は、なんとか自力で帰ろうと思ったが、焦りもあり前へ進もうとしても全然進めず、ガブガブと水を飲み、またブイに戻ってしまった。「Nちゃん、私ダメ・・。」この時私の頭に死がよぎった。

だが、Nちゃんはそんな私とは対照的に生きる為に必死にだった。
まず、同じように浮かんでいた男の子3人組に声をかけた。「泳げないんです、助けてください!」と。しかし、男の子達も泳げないようで、「こっちも助けて欲しいです」と言った。私はもう頭の中が真っ白でブイにしがみつくことで精一杯だった。すると、意を決した顔でNちゃんが「私の肩につかまって!いい?なるべく足をバタバタさせてね」と言った。私は、泣きべそかきながらNちゃんに必死にしがみついた。彼女は私を背負って力いっぱい泳ぎだした。何度も沈みかけながら・・。

そして、とうとう砂浜へ辿り着いたのだ。その後、Nちゃんは男の子達も助け、私達5人は無事生還することができた。Nちゃんがいなかったらどうなっていただろう・・。彼女は私の命の恩人である。

そのNちゃんとは卒業後、しばらく疎遠になっていたが、結婚式の2次会に招待してもらったのをきっかけに、また時々会うようになった。
久しぶりに会った2次会での彼女は、別人のように変身をとげていた。私はスピーチを頼まれ、あの頃の彼女は、男前でがっしりしていて私を助けてくれたことなど話した。当時を知らない彼女の友人達は笑ったり、びっくりした様子で私のスピーチを聞いてくれた。それをみていたNちゃんは相変わらずガハハと笑っていたが、ロングヘアーでほっそりとした本当にとても素敵な女性になっていた。

その後、Nちゃんの旦那さんともすぐに仲良くなった私は、新婚家庭に遊びに行っては失恋話を聞いてもらった。Nちゃんは真剣に話を聞いてくれ、旦那さんは私達の為に料理を作ってくれた。私はこの夫婦が大好きだ。

それから数年後、Nちゃんと二人で会った時、彼女が恥ずかしそうに私に言った。「私さ、どうしたら旦那に喜んでもらえるかわからないんだ・・。」と。夜の営みについて相談されたのだ。私が「その気持ち、そのまま旦那に伝えてみたら?すごく喜ぶと思うよ」なんて返事をしたら、彼女は「恥ずかしくて言えない」とうつむいたのだ。なんて奥ゆかしいんだろう。私はNちゃんを抱きしめたくなった。旦那さんもそんなNちゃんが可愛くて仕方ないだろうと思った。

男にも女にも好かれる強くて優しいNちゃん。
夏がやってくると、毎年Nちゃんを思い出す。

ということで、“遊泳禁止”にはそれなりに理由があります。
ルールは必ず守りましょう。

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この記事へのコメント
素敵な思い出ですね^^
Nちゃんのたくましさ、少し分けていただきたいですねw

それにしてもその男の子3人組はだらしないなぁ(^^;
Posted by ヌン♪ at 2005年06月28日 16:59
ここぞという時に、力を発揮できるオンナ、カッコいい!!
そういう人に限って、性の問題などには繊細であることも、何となく理解できる。
しかし、彼女は目的達成できると思うぞ!!
ほんとに危機になった時は、自分で答えを出せる人なんだ。
Posted by 由巳ゆみ at 2005年06月28日 17:44
とてもいい話ですね〜(*^ー^*)
Nちゃんのお人柄がよくわかります。
そしてNちゃんのような素敵なお友達のいるyukikoさんも素敵だ〜

ちなみに私は元水泳部。泳ぎは得意です。
でももう水着は着ません。何より日焼けが怖いし、体のラインがぁぁぁぁぁぁぁ(自爆)

それにしても満ち潮って結構怖いみたいですね。
命があって何よりです。

Posted by ナナ at 2005年06月28日 18:59
ヌンさんへ♪
Nちゃんは、本当にたくましかった。私、真剣にしがみついてた。。
あの男の子達ねぇ、あっという間にいなくなっちゃって・・。もし逆だったら素敵な高校生ロマンスが生まれたかもしれないのになぁ。ううん、ありえない・・。


ゆみちゃんへ
うん、カッコイイ。彼女は精神的にとても自立してる人なんだと思います。強い人が優しいんだって彼女は身をもって教えてくれました。旦那さんが素敵なこともすごーーく納得。


ナナっちへ
そう、Nちゃん、ほんとに素敵なんです。男らしくて女らしい、で笑える。最強です。満ち潮、ほんとに怖かった。あれから、海へ行ってたとえ浮き輪を使っているときでも、しょっちゅう足が届くか確認するようになりました。自然はやっぱりあなどっちゃいけませんね。。
それにしてもナナっちは、私ができないこと全部できるなぁ。
Posted by yukiko at 2005年06月28日 22:41
高校生ロマンス。。。あはっ素敵すぎ♪
そういうチャンスがあればいくらでも行動するんですけどねぇ。。。
おしいかな、未だ一度もそういう機会に恵まれず はや27年。。。
Posted by ヌン♪ at 2005年06月29日 09:40
ヌンさんへ
いや、チャンスはきっとこれから。
そのチャンスを逃さないようアンテナは常にグローバルに!
って、私ももう何年も言ってる気がする。。
Posted by yukiko at 2005年06月29日 11:40
Nちゃん、かっこい〜なぁ☆
私もかつては 水泳部部長 だったような。。。(笑)
しかし泳げないのよね、とほほ。

時間は女を綺麗にするね!
逆に汚くすることも大いにあるが・・・。

お互い前者になるべく
頑張ろうね〜〜♪
Posted by 【おこげ】 at 2005年06月29日 12:02
おこげちゃんへ
ほんとうにそうだなぁ。年齢とともに内面・外面ともに美しくなる女もいれば、その逆もいる。はい、頑張りましょうね☆
Posted by yukiko at 2005年06月29日 17:51