2005年05月31日

聞き専

女同士で外食する時は、会話がメインになる。
おいしいものを食べようという場合もあるが、殆どの場合は、お互い聞いてもらいたいことをガンガン話し、意見交換する。それが楽しいのであって、そのほかに目が行くことはない。デザートを食べて飲み物を飲み干し、それでもペチャクチャ喋り続ける。女ならではの楽しみだ。

ところが数年も付き合った彼氏と外食する場合は、食べることがメインになって喋らなくてもいい瞬間が結構あったりする。その時間をいかに有効に過ごすか?

大きな声では言えないが、空いた時間で私は盗み聞きをさせていただいている。聞こえは悪いがかなり勉強になる。世の中いろんな人がいる。知らない人の会話ってそうそう聞けるもんじゃない。ちょっと耳を澄ませるだけで知らない世界が私をいざなう。垂れ流ししちゃうなんてもったいない、もったいない。

その日は、右隣のカップルの会話に集中した。三日月みたいな顔をした30前後の女と、岸部四郎を無口にした感じの30代半ばの男のカップル。このカップル、すべてが三日月女のペースだ。四郎はいかにも人が良くて気弱な感じ。最初から最後まで女は尖ったあごを突き出し、四郎が言うことにケチをつけ、自分の意見を押し通していた。週末は、彼の実家へ彼女を連れて行くらしい。四郎は彼女に実家に泊まってもらいたい。だが三日月女は「気ぃ遣うじゃん、そんなこともわかんないの?ホテルとってよ。いいとこ見つけといて」と言う。彼は「そ、そうだね。わかった」と言って悲しそうな目をしていた。“四郎、三日月女のどこがそんなにいいんだ?”彼女の「あぁ、お腹一杯。早く帰ろ。」の一言で二人は去って行った。四郎がこの先もずっと三日月女の意見に従って生きるのかと思うと切なくなった。

次にそこへ夫婦が座った。奥さんは臨月かと思われる大きなお腹をしている。旦那さんはただただ大きくぬぼーっとした感じ。二人の間に会話は殆ど無い。しばらくすると料理が運ばれてきた。旦那さんは二人前のスパゲティーを無心に食べている。奥さんはあきれた顔で彼を見る。“二人の関係は冷め切っているのか?もうすぐ子供が生まれるというのに大丈夫なんだろうか?”食べ終えると、二人の会話がちょっとずつ始まった。“ほっ”。ところがよく聞いていると、旦那さんは自分の欲しい車の話ばかりしているじゃないか。「あれ買ったらコーナーを飛ばしてみたい」だって。。“子供ができるっていうのに何考えてんのよ”奥さんも同じ思いだったに違いない。でも、彼女はぐっとこらえ「スピードが出るのは危ないから、もうちょっと広いタイプの車にしない?」と言っていた。旦那さんは無邪気に笑った。鈍そうだ。そして旦那さんが「あ〜、お腹一杯」というと二人は席を立って帰っていった。

う〜ん、なかなかいろんなことを考えさせてくれる2組だ。この2組の共通点は会話がうまく噛み合っていないところだろうか。やっぱりコミュニケーションは大事だ。大切にしなければならない。相手を思いやり自分だけの世界へ入らないことだ。

なーんてことを一人で考えている間、私の彼はどうしてたんだ?
じっとりと真剣な目つきで隣のテーブルに聞き耳立ててる女と、ただ黙々と食べる男。私たちカップルが一番怪しくてヤバイ。。

やはり生カップルは、理想論じゃ片付けられないらしい。
どちらかがどこかで我慢して成り立っているのだ。

できれば我慢してもらいたい。
ならば相手を“惚れさせる”これしかない。

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